数学者をテーマにした映画を立て続けに見る
昨日は数学者を主人公にした映画2本を立て続けに見てきてなんだか数学
の世界に遊んだような気分になった。見た映画は「プルーフ・オブ・マイ・ライ
フ」と「博士が愛した数式」の2本。いずれも特別の傑作というわけではない
が、見たあといい気分で映画館を出られる映画。うるさい音楽とCGで埋め尽
くされた映画ばかりの昨今、静謐さ漂う淡々とした映像で飽きさせずに魅せた。
「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」は精神を病んだ天才数学者と美貌と数学的才
能を併せ持つ娘、そして数学者の弟子が絡み人生と愛情がきめ細かに描か
れていく。監督は「恋するシェイクスピア」のジョン・マッデン。アンソニー・ホプ
キンス、グィネス・パルトロウ、ジェイク・ギレンホールと演技派ぞろい。期待度
も大きかったが、ちょっと期待度が大きすぎたかな。
「博士の愛した数式」は交通事故の後遺症で記憶が80分しか持たない数学
者(寺尾聡)と家政婦(深津絵里)とその息子の短い期間だが心温まるふれあい
を描く。全編に漂う静謐さと巧まざるユーモア感覚などかつての松竹映画の良さ
を味わえる。しかし、あまりの起伏のなさはどうにかして欲しいが。
いずれも素数や虚数、完全数や友愛数、オイラーなど数学上の公式や数学者の
名前などが出てきてなんだか数学の教養講座を聴いているような雰囲気も。でも
それは嫌な雰囲気ではなく数学って意外に面白そうだなという気分になってくる
ものだ。数学大嫌いな私もこの映画のあと、高校時代や大学時代に買った岩波
新書のなかの数学関係の数冊を書棚から引き出してきて読み直しているぐらい
なのだ。数学者を扱った映画には「ビューティフル・マインド」や「グッドウィル・ハ
ンティング」などの佳作もあった。歴史上でも数学者ってかなり変わった人物も
多いしドラマのテーマにしやすいのかな。とにかく、ライブドア事件をはじめうんざ
りするような事件、それに絡む小泉や竹中などの汚らわしい人間が跋扈する時代
に数学という純粋な数字の世界で苦悩する人間の清々しさに触れた気分の良い
一日だった。
| 固定リンク
コメント