東北ぶらぶら気まま温泉一人旅ドライブその15、下風呂温泉の老舗「長谷旅館」で海の見える風呂に入る
奥薬研のかっぱの湯からは一気に海の方へ降りて、国道279号線で左折
して本州最北端大間方面へしばらく走れば下風呂温泉に到着。以前25年
ほど前に下風呂温泉には1泊しているのだが、どこに泊ったかなどあまり記
憶にない。料理がおいしかったことと、夜は漁り火を灯したイカ釣り漁船が
沖合にたくさん出ていたこと記憶がある程度。肝心の温泉の記憶がほとん
どない。さつき荘のご主人に聞くと、私の泊ったのはどうも下風呂荘という旅
館らしい。そこは温泉を引いていないのだとか。だから温泉の記憶が希薄な
のか。その下風呂荘は最近営業していないようとか。確かに大湯のすぐ上
にあった下風呂荘は電気が消えていた。温泉街は国道より一筋山側に入っ
たところで、15軒ほどの旅館や民宿が並ぶ。民宿には温泉を引いていると
ころはないようで、宿泊すれば12軒の旅館と2軒の共同浴場のうち3軒に入
浴できる800円の湯巡り手形を入手できる。
今回宿泊したのは、さつき荘。旅館の中で共同浴場と各旅館で使用の大湯
源泉と新湯源泉以外の海辺地源泉2号なるものを引いている唯一の旅館と
いうので、決定。予約したのは宿泊日の19日の午前9時頃。一人で適当に
旅行する時はたいていの予約は前日か当日だ。平日が多いので駄目な時は
ほとんどない。
さつき荘での夕食まで時間が少しあったので街散策のついでに、手形利用で
日帰り入浴。先ず入ったのが温泉街の中心と言うか大きな新しいビルの三浦
屋など5軒の旅館が並ぶ一角にある「長谷旅館」にした。夕食の調理中の時
間帯にも拘わらず、対応してくれた女将さんか従業員の方は親切。
外観は新しめだが、中は古い旅館の佇まいそのもの。浴室は階段を下りたと
ころにあり、こじんまりとしているが清潔感のある浴室。浴室の窓からは国道
と海を眺められるので、日差しもさして明るく気持ちいい。湯船は細長く隅の
の岩作りの部分から湯が掛け流されている。湯はちょっと熱めで、薄青色の白
濁でうっとりするような奇麗さだ。撹拌して少し温くなったところで掛け湯を何
回もして一気に入浴。成分が体中にしみ込んでくるような強さのある湯で、き
りっと引き締まる。酸っぱい味にほんのりと香る硫黄臭とまったく文句ありま
せん。
この旅館は井上靖が「海峡」を書くときに宿泊し、舞台にもなった旅館で、小説
中に出て来る登場人物の思い「ああ、湯が滲みて来る」の言葉が実感できる
湯だ。
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