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2006年9月 1日 (金)

私の一番好きな音楽マリア・カラスの「カルメン」を聴いてまったり

株式市場のほうは16000円台を回復して先日までの悲観はなく
なったようで、大型株などが調子いいようだ。しかし、中小型とい
うより小型中心の持ち株の方は、下落のスピードは凄かったのだが
平均株価上昇ほどには戻りがほとんどなく見放された状態がいまだ
に継続。面白くも何ともないのであいも変わらず株のほうは放置状
態で売買も2ヶ月以上なし。こんなのは株式売買を始めて27年ほ
どなる株歴でも初めてで、暇すぎる。ということで体のためにもい
い温泉巡りばかりしているのだが。今回ほど株式の方で見通しを誤
り、買ったばかりの持ち株の悲惨な大幅な下げに襲われて回復に長
引いているのも初めてだし、株式をしばらく離れていることもいい
ことかな。

温泉巡りしていないときには映画を見に行ったり、買っては読んで
いない本が山の状態になっているのを少しずつ読み進めたり、クラ
シックにジャズなど大好きな音楽鑑賞などと、金儲けとは無縁の文
化漬けの毎日だわ。掲示板に毎日何十回と書き込みをしていた「株
研掲示板」の草笛さんも誹謗中傷の荒らしなどの馬鹿どもにうんざ
りして、一時は書き込み中止の閉鎖状態にしていた掲示板を今日か
ら再開したようだ。やはりあれだけ掲示板に書き込みしていた株式
フリークなだけに暇を持て余していたのかな。

というわけで、暇を持て余しているのは私もで、今日は久しぶりに
ビゼーの「カルメン」全曲盤をCDで聴いている。聴いているのはカ
ルメンをマリア・カラスが演じている録音されてからすでに40数
年がたった古い録音。でも、どんなに新しいカルメンの録音が出現
してもこのカラスの絶唱を凌駕するものは私の中では出てこない。

私にとってはこの録音はオペラの楽しさに目覚めた記念的な録音な
のだ。1965年当時中学生だった私はクラシック音楽を好きにな
り、レコードを買い始めてまだ2年ほどたったころ。1枚2000
円と物価水準からは今とはまるで違う高価品だったレコードだけに
レコードを買うときには熟慮を重ねた上での決断が必要だった。そ
のためには「レコード芸術」がバイブルのようなものだった。

しかし、レコード芸術も安くはないので買うのは時々。ほとんどは
書店での立ち読み。学校帰りなどに毎日のように書店に寄っては立
ち読みを繰り返し、熟読していたものだ。カルメンも一部の曲はそ
れまでに知ってはいたものの、当然全曲など聴いたこともない。し
かしあのワクワク心躍る前奏曲や闘牛士の歌などからぜひ全曲を聴
いてみたいと思い、岩波文庫で原作であるメリメの小説を買って読
んだり、学校の図書館でビゼーなどの関係本を読んだりしてますま
聴きたい思いを募らせていた。

そのとき確かレコード芸術の1965年5月号だったかのオペラ欄
に出ていたのがカラスの「カルメン」だった。評論家の評価もベタ
褒めで、エンジェルの新譜宣伝セクションに出ていたジャケット写
真のモノクロのカラスの大きい顔写真も惚れ惚れするものだった。
しかし、価格は3枚組で5000円。中学生にとってはあまりに高
価だ。だが、欲しいものは欲しい。小遣いをためにため、親からも
少し援助してもらって、しばらくたってからようやく買うことが出
来た。レコード店で買ったあとは貴重品を扱うようにすぐに電車に
乗り帰宅。その間も落とさないように抱き抱えるようにしていた。
Img_0016


帰宅して袋から出した時の歓びは、その後これまでにもないほどの
大きさだった。3枚組の箱入り化粧ジャケットはずっしりと重く、
カラスのモノクロ写真は神のように輝いていた。ジャケットを開け
ると対訳解説書とマリア・カラスの写真がいっぱいのもう一つの解
説書も。レコードはそれまで買っていたエンジェルレコードのレー
ベルとは違い、ゴールド色。指で触ると指紋がくっきり。大事なも
のなので、指紋がつかないように指に絆創膏を張って触るようにし
たほどだった。

大事に大事に扱って安物のプレーヤに載せていよいよ聴き始める。
はじけるように始まった序曲からもう引き込まれて行くばかり。カ
ルメンが登場する直前の合唱など興奮がどんどん膨らむ。そしてお
もむろにカラスが登場して有名なハバネラを歌い出すと興奮は極致。
ちょっと鼻にかかった低いトーンの歌声はエロチックまでに魅惑的。
そして、2幕、3幕、4幕とどこを聴いても退屈するところがない
のだ。4幕ラストのホセとの対決場面など興奮のるつぼ。聴き終わ
ったらぐったり心地よい疲れだった。

以来、カルメンは私にとっては最高のクラシック音楽。そして、カ
ラスは私にとって永遠のディーヴァとなった。レコードはいったい
何回聴いたかわからないほど。まだ所有して、一番大事なレコード
やCDを並べている棚の特等席にある。あまりに聴きすぎたためにレ
コード溝は痛み、今聴くと音はまるで駄目だ。カラスのカルメンを
聴く時は今ではその後に発売になったCDで当然聴くが、対訳解説書
はレコード盤のものを見る。といっても、カルメンを聴いてから原
語でカルメンの歌詞を知りたくて、高校1年の終わり頃にフランス
語の勉強をドイツ語(これはシューベルトの歌曲などを原語で読み
たくて)の勉強と同時に始めたため、ほとんど対訳は見る必要はな
くなったのだが。

あれ以来40年ほど、どれほどのオペラを聴いたことだろう。カラ
スの主な録音もほぼそろえた。でも、すべてのオペラの中では今で
もカルメンが一番好きだし、いくつもCDやLDなど集めて来たが、や
はりカラスのものほど興奮するものはない。画像がなくてもあの声
を聴くと舞台が目に見えてくるようなのだ。指揮のジョルジュ・プ
レートルもカラスのオーラに乗せられたような素晴らしく生気溢れ
る音楽を作るし、ホセのニコライ・ゲッダも激情を抑えた輝かしい
美声が素晴らしい。ホセとしてはその後のパセティックなホセ・カ
レーラスと双璧だろう。カルメンは私にとってはモーツァルトのピア
ノ協奏曲などやバッハのマタイやカンタータ、ブルックナーの後期
交響曲と並ぶ宝のような存在だ。

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