「スーパーマンリターンズ」には心躍りながらも、ちょっとねの出来だった
あのスーパーマンが大スクリーンにほぼ20年ぶりに蘇った「スーパーマン
リターンズ」を見に行った。公開されてから2週間目。家から近い上野で
見たこともあるのだが、客がすでにかなり少なく寂しいほどだ。「パイレー
ツ・・」のほうがいまだに動員数の上位でがんばって興収100億円を超す
勢いなのに、「スーパーマンリターンズ」は興収で15億円程度に終わり
そうだとか。正義の味方の勧善懲悪的お話は現代的ではないのか。
そんな時代背景の中での映画でのスーパーマン復活とあってなんだか
悩み多き設定のスーパーマンになっている。スーパーマンは明るい性格
の正義のヒーロー。それが、今回は正義の活躍することにどういう意義
があるのかと悩んだり、5年ぶりに地球に戻ったら愛するロイス・レイン
に子供がいて同棲する男性もいて、それに嫉妬してかストーカー的行動
に出たりとかどうも煮え切らないスーパーマンだ。「ユージュアル・サスペ
クツ」や「X-MEN」シリーズのブライアン・シンガー監督のダーク思考が
反映されたのだろう。
それにしても、巻頭のあの勇壮なジョン・ウィリアムズ作曲のテーマ曲が
懐かしの彼方へ流れさるロゴに乗って鳴り響くのにはやはり心躍る。そ
してレインが乗った飛行機を遭難から救助するシーンまでは快調に進ん
で行く。しかし、その後はどうも流れが滞りがちで、大掛かりなSFXアク
ションシーンの合間の部分がだるいのが多すぎ、眠気を催す場面も。た
だ、「パイレーツ・・」のようなあまりの騒々しさがなく、大人向けではある
が。
主演に抜擢されたブランドン・ラウスは、背も高くハンサムで、どこか面影
がかつてのシリーズの主演故クリストファー・リーヴに似ているし、清潔感
もあって適役だろう。しかし、5年ぶりに地球に戻って来たにしてはリーヴ
より若すぎるってのは違和感はあるが。そんなこと考えていたら、突っ込
みどころいっぱいだしね。だいたい、子持ちで同棲相手がいるレインにス
トーカー的につきまとわず、子供も出来て結婚も出来そうで良かったね
と、軽く対応して別のかわいい子を探せば良さそうだし、5年ぶりにスー
パーマンが戻って来たら、突然同時にクラーク・ケントも新聞社になにご
ともなかったように戻って来たのに誰もそれを不思議に思わないし、ルー
サーの土地を新たに作って金儲けの陰謀もあんな土地ではいったい誰が
買うんだか、など突っ込みたくなる所だらけ。まあ、もともとこんなスーパー
マン自体いる訳ないんだから目をつぶって楽しみましょう。でも、シンガー
監督にはもう少しユーモアセンスが欲しい。失笑するようなところはある
のだが、明るく笑えるのがほとんどない。レインの子供が実はスーパー
マンの子供だった(これは子供が登場する最初から予感できる)ので、続
編も作られる可能性も大いにありそうなので、かつての明るい雰囲気の
ものを別の監督に作ってもらいたいな。やはりリチャード・ドナー的なあま
り屈折感のない監督がいいようで。
どうでもいいことなのだが、スーパーマンの衣装のあの赤いパンツ。大昔
のテレビ時代のもの、リーヴ時代のものと比べると、どんどんビキニタイプの
パンツになってきていて、競泳選手のパンツの変遷とぴったり。でも、最近
は競泳選手はビキニタイプじゃなくて、全身を覆うタイプのスーツになった
りしているので、次のスーパーマンではどうなることか。あまりビキニタイプ
はなんだかね。トランクスタイプなんて方がかえってよかったりして。
あと、シンガー監督の映画への愛情を見るのが、スーパーマンの地球での
母親マーサ役にエヴァ・マリー・セイントを起用したこと。あの「波止場」で
マーロン・ブランドと共演した女優だものね。ヒチコックの「北北西に進路を
取れ」にも出演した金髪のクールビューティだったが、さすがに81歳。当時
の美貌に惹かれたファンとしてはちょっと寂しいね。上品なおばあちゃんで
はあるが。
| 固定リンク
コメント
当方へは幾度も足をお運びいただきまして、まことにもって感謝至極でございます。
>ここに挙げるような映画があればもう新作はいらないやという気分になって来る。
いたく御意ざます!
心臓がバックラメクようなアクション(なるべくCGとか不使用で)とか、名監督&超面白いホン(脚本)の傑作を多々観続けてきたkabumasaさんや不肖vivajijiおばさんの映画鑑賞眼(ほとんど充血しておりますが)からすると昨今の先細り的稚拙作品の多いこと、多いこと。
わが拙ブログ内を通読していただければおわかりのように映画を観る年代層の低年齢化、時勢そのものの幼稚化、これは如実に即、映画の作り手とその作品に顕れています。
安き(チープさ)に流れに流れております。
半分、憂いて、半分、あきれています。(笑)
でもオリンピックの聖火のように「映画愛の火」だけは絶やしたくない!とも思っています。
せめて、私の目の黒いうちは。
賛同していただけます?(笑)
投稿: viva jiji | 2006年10月21日 (土) 10時05分