劇場未公開映画「潮風とベーコンサンドとヘミングウェイ」をBSで見る。心に沁みる作品だった
30日の夜NHKBSで放送された映画「潮風とベーコンサンドとヘミング
ウェイ」を見た。映画をかなり見ているのだが、この作品はまったく知ら
なかった。日本では劇場未公開でビデオ発売されただけのようだ。しか
し、キャストを見るとロバート・デュヴァル、リチャード・ハリスと渋い役者
が揃い、ほかにシャーリー・マクレーン、サンドラ・ブロック、パイパー・ロ
ーリーなど魅力ある布陣。これは見ておかなくてはと見たのだが、期待
以上の出来だった。CGなど多用のうるさいのが多いハリウッド映画では
なかなかない淡々とした地味な映像で描く老人二人の心に沁みる交流
の話。
主演がデュヴァルにハリスと映画好きならかなり惹かれるキャストなのだ
が、まあ日本の興行世界ではヒットは先ず望み薄。制作の93年当時で
も現在でも日本で劇場公開を期待する方が無理か。監督はランダ・ヘ
インズ。20年ほど前の映画「愛は静けさの中に」で女性聾唖者の孤独と
自立を静謐な映像で描き、聾唖者で素人だったマーリー・マトリンにアカ
デミー主演女優賞をもたらした監督だ。
元船員で荒っぽい性格のハリスは若い頃ヘミングウェイとレスリングをし
たのが自慢。マクレーンが経営する海辺のアパートで暮らす。映画館に
行っては老女(ローリー)にモーションをかけたりしてぶらぶらしている。
一方のデュヴァルは元理髪師で毎日海辺のベンチに座り、パズルを解く
のが趣味の静かな男で、街の食堂で可愛いウェイトレス(ブロック)とお
しゃべりしては特製のベーコンサンドを作ってもらうのが唯一の楽しみ。
そんな性格も生き様も違う70代の二人が知り合い、反発したりしながら
心の友となって行く。二人の頑固だが稚気溢れるやり取りなどを通して
老いと孤独を静かに見つめていく実に心に沁みるいい映画だった。ハリ
スとデュヴァルの二人が釣りに行った時に素っ裸ではしゃぎながら泳ぐ
シーンのなんと楽しく心躍ることか。心の友が出来た二人の幸せ感をユ
ーモアのある映像にした監督の優しい視線を感じる。
老いの厳しさと孤独がテーマなだけに描き方によっては暗くなってしまう
のだが、二人が自立心と矜持を持つのが爽やかな後味を残す。70代に
なりこのような素晴らしい友情を持てたらと夢を抱いてしまった。ブロック
は「スピード」で人気爆発する直前の作品。優しい人柄がにじみ出る役を
好演している。
閑話休題。
教育の面ではいじめや高校の単位取得不足などが話題沸騰。しかも、戦
争やりたいだけのような気持ち悪いアベシンゾーが日本国憲法を支える基
幹とも言える教育基本法を改悪しようと陰謀を企んでいて、まさに現在の
日本の中心課題は教育のようだ。単位不足などが生じた根本は馬鹿な
文部官僚(寺脇研あたりが元凶)が勘違いしまくりで導入した「ゆとり教育」
がその原因だ。義務教育では勉強することが一番大事なのにその勉強を
あまりするのは良くないみたいなアホ極まる政策を実施したからだ。しかし
それは金のあるものは高額な塾などに行かせ、金のないものはますます教
育を与えることが出来なくなっただけ。日本政治最大の馬鹿の売国奴小泉
が推進した格差社会を固定化させて行くのに大いに役立ったのもこのゆと
リ教育。それを放置して、教育基本法という素晴らしい法律を改悪して一体
アベら売国一派は何をしようとしているのか。
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コメント
TBさせていただきました。
こういうシミジミ系には客は集まらんでしょうねえ。(笑)
この間のBSで3回目の鑑賞でしょうか、本作は何度観てもいいです。
映画内容的にはイマイチでしたけれどJ・レモンの「晩秋」とか、常に“ゆれている”K・ヘップバーンとおっかない目のH・フォンダの「黄昏」とか、一世を風靡したスターの晩年の作品は感慨深いものがあります。
投稿: viva jiji | 2006年11月 2日 (木) 13時51分