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2007年3月11日 (日)

耽美と猟奇と笑いなどてんこ盛りで楽しめるヨーロッパの味わいたっぷりの映画「パフュームある人殺しの物語」

土曜日は天気も良さそうなので先週に引き続きまたまた日帰りドライブ
で那須まで温泉入浴へ。道路が年度末もあるのかあいも変わらず工事
が多くて時間のかかること。那須では濃厚な硫黄泉にたっぷりと入り、先
週食事して安くて美味かった「寿楽」でまたまた食事して帰宅。今回は牛
筋煮込み定食600円を堪能。土鍋に山盛りに入った牛筋が甘めのドミグ
ラソースでじっくりと煮込まれていて口に入れるととろけるようだ。ご飯に
かけるとハヤシライスのようなもので一気に食べてしまった。それにして
もこの店は安くて美味い。ご機嫌な温泉に美味い肉料理で充実した日帰
りドライブであった。

今日から始まった大相撲を見ながら何か書くことないかと考えていたら、や
はり先日観た映画のことかと。「蒼き狼地果て海尽きるまで」と「パフューム」
を観たのだが、「蒼き狼」はモンゴルに大ロケーション敢行で美しい景色と大
動員の戦いが楽しめる単純なNHKの大河ドラマの映画版みたいなもの。モ
ンゴル人の世界なのに日本語で喋っているのがおかしいみたいな批判がネット
上などで見られるが、そんな突っ込みこそおかしいやね。ハリウッド映画でも
古代ローマやギリシャでもアラビアでもロシアでも英語だよ。なんで「蒼き狼」
だけそんな嫌がらせでしかない嫌みが言えるのかな。素直にモンゴルの英雄
を現地で撮影した角川春樹の情熱だけでも映画の出来とは別にしてもたいし
たもんだよ。でも、沢井信一郎が監督だけは頂けない。この手のスペクタクル
的要素のある映像には不向きな監督だ。モンゴルの風景がただ奇麗なだけで
壮大な美にまでなっていない。沢井にデイヴィッド・リーンを期待するにはあま
りに無理が多すぎるが。


もう一つの映画「パフュームある人殺しの物語」はジャンル分けできない雑
多な要素をごった煮にしたような内容でかなり楽しめる。18世紀のフランスを
舞台に絶対音感みたいな絶対臭覚みたいなものを持って産まれた男が自身
の持つ能力を活かす仕事香水調合師となり、究極の香水を作るお話。その
究極の香水の元となるのが香料ではなく、彼の臭覚に叶った美しい女性た
ちの匂いなのだ。その匂いを集めるために連続殺人を犯して行く。殺人と
言っても残虐なシーンはなく、殺して裸にした女性の皮膚に皮脂のようなもの
を塗り体臭を集めて行くが、レイプなど一切ないのでちょっとエロチックな雰
囲気が漂う。しかし、あの程度のことで体臭を収集できるのかな。よほどに
西洋人の体臭が酷いってことなんだね。こういうのを観ると、江戸時代の東
京なんて銭湯はあるし、そばや寿司のような微妙な味わいの食べ物文化が
発達するなど日本人の繊細さが改めて実感できる。香水や濃厚なソースで
素材の味を殺すフランス料理なんてのは臭い環境から生まれて来たってこ
とだ。

主題が匂いというだけに映画全編からは匂いと言うか臭いが漂うようだ。18
世紀パリの大セットがすごい。町中に汚物の臭いが籠っているような作り込
みは技術陣の執念が満ちる。原作ではその街がどう表現されているかまだ
読んでいないので分からないが、映画巻頭のセットシーンを見るだけでこの
映画の不可思議な世界に一気に入り込める。

サイコキラーもの、ホラーもの、コメディ、猟奇愛など様々な要素が変幻自在
に盛り込まれていて、耽美的な映像がそれを支える。主人公グルヌイユは
悪魔か天使か。ファンタジー的雰囲気もたっぷりに映画的魅力に溢れる。映
画館で観てこその映画。1滴の香水が媚薬になり、処刑場に集まった群衆が
その匂いにトランス状態になって集団乱交状態になるシーンなどエロチック
というよりも笑いそうになる。このシーンあたりから最後のシーンにはそれまで
の部分との間にかなり破綻があるのだが。ほかにもブラックな笑いのシーン
もあり、いかにもヨーロッパ、それもドイツの表現主義的な面が出ていて楽し
い。「ブリキの太鼓」や「薔薇の名前」やフェリーニの「サテリコン」などがお好
きな人には堪えられない映画。この映画もそうなのだが、「蒼き狼」もナレーシ
ョンが多すぎで説明過多。ナレーションはどちらも不必要だな。

この映画ではラトル指揮でベルリンフィルが初めて映画音楽の演奏に参加
しているのが話題で、その音楽がさすがすごいなんて言っている人がいるが、
別にすごくも何ともない。これまでの映画でもイギリスやアメリカの素晴らし
いオーケストラがいくらでも映画音楽を演奏している。ベルリンフィルがこの
映画音楽の仕事に参加したのは単にお金のためだろう。かつてカラヤン指揮
のころのように録音のレコードやCDが売れていた頃ならやらないだろう。最近
は売れないCDで元々マスが小さいクラシック音楽はことさら売れない。とくに
ベルリンフィルもラトルが常任になってからはなおさらだろう。そんなこんな
でのベルリンフィルの劇伴担当。今回の音楽演奏がすごいなんて言っている
人は宣伝に踊らされているだけ。最近のベルリンフィルってカラヤン時代の
真の意味でのゴージャスさに欠ける。世界一のオケなんていまや誰も思って
いないのじゃないかな。ラトル指揮で聴くとカラヤン指揮での耽美さなどまるで
ないしね。それにこの映画の音楽自体もそれほどのものでもない。「アマデウ
ス」でネヴィル・マリナーが指揮して音楽を付けた時の方がどれほどインパク
トが大きかったことか。

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