昨日のベルイマン監督死去の報に続き、今日はアントニオーニ監督の訃報が。大往生だが寂しいね
昨日のスウェーデンのイングマール・ベルイマン監督死去の報道
につづき、今夜はイタリアのミケランジェロ・アントニオーニ監
督の訃報だ。60年代はじめから洋画ファンになり、中学時代か
ら背伸びして映画館に通い。60年代後半から70年代はじめに
かけての高校・大学時代には名画座などに通いつめては映画を追
いかけていた監督たちだ。
当時もっとも惹かれていた監督はヨーロッパ映画では私にとって
はパゾリーニ、フェリーニの二人が双璧なのだが、それに匹敵す
るほどだった監督なのが、このベルイマン監督とアントニオーニ
監督。ベルイマン監督はやはり50年代の映画にもっとも魅力を
感じた。「第7の封印」「野いちご」「処女の泉」など哲学的思
索的な静謐な映像には痺れ切ったものだ。60年代以降も「冬の
光」「沈黙」「ペルソナ」「叫びとささやき」など印象深いもの
が多い。そして80年代初期の大作「ファニーとアレクサンデル」
は50年〜60年代の作品ほど判りにくさがなく、宗教と人生な
どを大河のごとくに描き切っていた。それにオペラファンの私に
とってはビデオで見ただけなのだが、「魔笛」も宝物のような映
画で、今も所有のビデオで時々観るものだ。
もう一人のアントニオーニ監督。30日にローマで死去。94歳
だからまさしく大往生。先日もNHKBSで深夜に「太陽はひとりぼ
っち」が放送されたばかりで、久しぶりに観てやはりあの思弁的
な思わせぶりな映像は当時の実存主義的な思考の映像化なんだろ
うけど楽しくはなかった。公開当時「太陽はひとりぼっち」「赤
い砂漠」「欲望」と中学から高校時代に粋がって映画館へ観に行
ったのだが、なんだか訳が判らないうちにあっけにとられている
うちに終わったのを覚えている。観て印象に残った一番はアンニュ
イな雰囲気のモニカ・ヴィッティ。いまだに好きな女優だ。しか
し、当時では同じイタリアの監督でもやはりフェリーニとパゾリ
ーニの方が猥褻でグロで暴力的で刺激的で楽しめたし、今でもそ
の好みは変わらない。というより、アントニオーニ監督の良さが
どうも判らない。良さの判らないのはゴダール監督と双璧か。で
もあの当時の時代相をもっとも反映した監督なんだろうな。ベル
イマン監督の映画が今でも心に響くのとはちょっと違う監督では
ある。
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