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2008年2月13日 (水)

リドリー・スコット監督の新作「アメリカンギャングスター」は久しぶりの大人の味わいの刑事・犯罪映画

最近のCGでどんなアクションでも作ってしまう映画にはちょっと
食傷気味。とくにファンタジーものは「ロード・オブ・ザ・リング」
でもう十分な気分になってしまう。しかし、その手のファンタジー
ものはあとからあとからやって来る。そんな流れので中でCGほぼ
なし、アクションも派手なもの皆無で、ドラマで魅せる刑事・犯罪
ものとしてリドリー・スコット監督の新作「アメリカンギャングス
ター」は久しぶりに大人がじっくり堪能できる映画だった。

デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウがリドリー・スコットの
メガフォンのもと共演する実録犯罪サスペンスと来ただけで映画フ
ァンの心をくすぐる。クロウとスコット監督が組んだ前作「プロヴ
ァンスの贈り物」が今ひとつピンと来なかったのだが、今回のは期
待通りのリアリスティックな犯罪映画。

デンゼル・ワシントンの知性派黒人ギャングの冷徹、沈着なスタイ
リッシュなギャングも出色。そして、「LAコンフィデンシャル」で
の刑事にも相通じる職務一直線のはみ出しデカのクロウがいい味出
している。

映画は1970年代のニューヨークを舞台に、それまでのマフィアの
やり方とは異なる麻薬ビジネスで暗黒街で勢力を拡大する黒人ギャ
ングの動きと、一切の買収に応じることなく職務一直線ではある
が、家庭的には崩壊状態の刑事の麻薬捜査が丁寧に描写されて行き、
ラストへ向けてスリリングに展開する。

60年代末のニューヨーク。黒人ギャングのボスの右腕として働い
て来たフランク(ワシントン)はボスの死後、ボスの地盤を引き継
いで、東南アジアのトライアングル地帯から純度100パーセントヘ
ロインの直接仕入の独自ルートを作る。

それは麻薬流通ルートで中間搾取をせず、確実な輸送手段で麻薬生
産業者とヤク中をダイレクトに直結、良質で安価な麻薬を供給する
真っ当な経済原理に基づいた新しいビジネスとして大成功して行く。

しかし、それは既存のマフィアやフレンチコネクションルートの麻
薬商売と敵対することになるとともに、買収や押収麻薬の転売で汚
いカネを手にしていた腐敗した警察官たちとも対立して行くことに
なる。このフランクのビジネスはモノが麻薬でなければまさにやり
手のエリートビジネスマンそのもの。その知的なキャラクターと容
赦なく敵を殺す冷徹さをデンゼル・ワシントンが演じ切る。

一方、買収などで腐敗し切っているニュージャージー警察の刑事リ
ッチー(クロウ)は、警官の汚職が当たり前のなか職務一直線の潔
癖性で周囲から浮いた存在になリ、孤立していた。司法試験の勉強
もしながらの刑事の仕事だが、私生活では離婚した妻と養育権裁判
中。そんな彼を検察官が麻薬特別捜査班の責任者に抜擢する。そし
て、既存の麻薬組織とは違う動きでなかなか捜査が進まなかったフ
ランクの組織が浮上して来て、リッチーたちの捜査網が追って行く
ことになる。

ドラマの進行はどこまでも淡々と進む。麻薬組織を育て上げて行く
過程などが丁寧に描かれているので実話を元にしたリアリティがさ
すがだ。銃撃のシーンなどもほとんどなく、カーアクションさえ皆
無に近く、犯罪組織の動きと捜査陣の動きが徐々に交差して行くサ
スペンスの醸成が見ものだ。上映時間157分、まったく飽きるこ
とがない。久しぶりに大人の味わい映画。主演二人も良いが、脇も
充実している。とくに汚職刑事を憎々しく演じたジョシュ・ブロー
リン、マフィアのドン役のアーマンド・アサンテ。

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