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2008年2月10日 (日)

戦争という異常状況下でスリリングに展開する男女の愛の刹那さを描くアン・リー監督「ラスト、コーション」

「いつか晴れた日に」「楽園をください」「グリーン・デス
ティニー」「ハルク」「ブロークバック・マウンテン」と題
材、ジャンル、起用俳優など毎回多彩で変幻自在な映画が続
くアン・リー監督がまたまたやってくれました。158分の
超大作。その時間の長さを全く感じさせないドラマの濃密で
緊密な展開は余裕の風格さえ漂う映画が「ラスト、コーショ
ン」だ。

1940年に成立した汪精衛(いわゆる汪兆銘ね)を首班とする
日本の傀儡政権南京国民政府の時代が背景で、舞台は香港と
上海。当時の時代背景をかなり研究しただろうセットなど相
当に拘った造り。上海も当時様々な国が入り乱れていた状況
の描写が巧み。日本人の描きかたも全く不自然さがない。そ
の作り込まれた背景があってこそ、戦争の異常状況下で敵同
士の二人が熱く切なく刹那的な愛しか逃げ場のなかった話が
盛り上がり、サスペンスフルな展開に目を離せない。

巻頭シーンは、抗日レジスタンス逮捕を任務とする特務機関
の責任者イー(トニー・レオン)の自宅での奥方と友人の女
性たちの麻雀シーン。このシーンがなかなかにスリリングだ。
イー暗殺の特命でイーの愛人となってイー宅へ潜り込んでい
るチアチー(1万人から選ばれた新人タン・ウェイ)とイー
の奥方(ジョアン・チェンが貫禄の演技)たちの丁々発止の
やり取りが時代背景や状況などをさりげなく示して行く。

そして、喫茶店での抗日仲間たちへのチアチーの電話風景か
らシーンは4年前に戻り、イー暗殺を謀るようになる状況が
描かれていく。

チアチーは入学した香港の大学で演劇クラブに入り、抗日的
劇を上演して行くうちに仲間たちと売国奴イーを暗殺するの
が自分たちの使命だと思い込み、結局はチアチーがイーの愛
人となって暗殺できる場へおびき出す計画を進めて行く。

この仲間たちがいわゆる金持ちの坊ちゃん、お嬢ちゃんたち
でその計画がかなり稚拙で、愛人になるためにはセックス経
験がないからとチアチーと仲間がセックスに励むなんてアホ
なことをマジにやってしまうほど。しかし、特務機関のベテ
ランであるイーをたらし込むのにまだ大学に入ったばかりの
チアチーがわずかの期間でなり切ってしまうというこの映画
の一番根幹部分だけに関しては、いくらなんでもそれは無理
だろうって感じるのだが、それを言ってしまうと映画自体が
存在しないからまあスルーするしかないか。

香港での暗殺計画は完全に失敗し、時は3年後に移って舞台
は上海に。バラバラになっていた演劇仲間たちが再び集まり、
イー暗殺の再度の実施へ。この部分でイーとチアチーが隠れ
家でするセックスシーンがかなり過激。時間的には長くはな
いが、タン・ウェイが新人とは思えない全裸で大胆な演技だ。
少女らしい顔と娼婦的な顔の二面を的確に表現する。レオン
も大胆なセックスシーンを披露、役者魂発揮。ぼかしが数カ
所にあり、もしや本番をやっているのではと思えるほど。し
かし、このセックスシーンこそ二人の命を懸けた緊張感で崩
壊しかねない精神の象徴的表現であり、戦争のもたらした哀
しみが溢れ出て来る。トニー・レオンの哀しみと情けなさを
ない交ぜた目の演技が凄い。ただ、タン・ウェイは脇毛剃ら
ないのがやけにエロチックなんだが、ペチャパイで乳首が大
きすぎ。また、レオンもお尻の肉が弛み過ぎということであ
まりエロスの香りはない。

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