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2008年3月13日 (木)

抜群の出来の脚本と編集の豪腕ぶりで一気に魅せる全編クライマックス状態の映画「バンテージ・ポイント」

サスペンスアクション「バンテージ・ポイント」はかなり楽し
める1本だった。最近の映画では珍しいほど短い上映時間わず
か90分。しかし、最初から最後まで全編クライマックス状態
のハイテンションぶりでアドレナリン放出状態の鑑賞に。しか
もキャストが映画好きにとってはかなりの豪華版で楽しめる。

舞台はスペイン・サラマンカ(撮影はメキシコのようなんだけ
どよくわからん)。大聴衆が集まった広場で開催の国際会議後
会見でのアメリカ大統領狙撃・爆発事件が緊張感とスピード感
いっぱいに描かれる。基本ストーリーは大統領を狙撃したテロ
グループを追及するシークレットサービス(デニス・クエイド)
の活躍で、話は極めて単純。映画が始まってすぐに狙撃事件と
爆発事件が発生し、一気に本筋突入。クエイドが犯人追跡の過
激カーチェイス含めて大活躍。

この映画の面白さを抜群にした要点はその描き方。シークレッ
トサービス、大統領(ウィリアム・ハート)、中継テレビ局プ
ロデューサー(シガニー・ウィーヴァー、それにしてもなんだ
かえらくおばさんになっちゃった)、スペイン警察の市長警護
の刑事(エドゥアルド・ノリエガ)、ビデオカメラで撮影の米
人観光客(フォレスト・ウィッテカー、もうひとりの主役でこ
ちらもクエイド並の大活躍)、テロリストらそれぞれの視点で
狙撃・爆発事件が何回も微妙に違うカメラ映像で繰り返される。
いわば黒澤明の「羅生門」的作り。しかし、羅生門は登場人物
それぞれの証言の違いによる真実の曖昧さがテーマだが、この
映画は真実はあくまでひとつ。登場人物それぞれの同じ時間軸
を重層的に描いて行くことで、徐々に事実が判明して行く面白
さは、抜群の出来の脚本のおかげ。

そして、別の人物の描写に移る直前の続きがどうなるのかとワ
クワクさせる思わせぶりな終わり方、そして時間巻き戻し映像
と絶妙なサスペンスを醸成するのは編集の豪腕のおかげ。

狙撃から犯人逮捕までの実質的な時間はかなり短いはずで、2
0分ちょっとかな。映画を観たあとじっくりと映像を思い出し
ながら自分で事件構造を考えてみたが、不自然感はまったく感
じなかった。それほど、脚本が錬りに練り上げられているわけ
だ。この映画を観て文句を言うなんて人はよほど映画を観るの
が楽しくないんだから映画鑑賞一切止めたほうが良い。

あと驚くべきはテロリストのハイテク駆使と頭のあまりの良さ。
あと、撃たれた大統領が実は×××だったなんて落ちも。最後のカ
ーチェイスの迫力は「ボーン・アルティメイタム」に匹敵する
出来。とにかく眠る暇なし。このあと観た「ライラの冒険・黄
金の羅針盤」(こちらは凄いカネかけた特撮と豪華キャストな
んだけどね)のあまりの退屈さとは月とスッポン。この映画が
楽しめないなんてのはよほどアベシンゾー並の馬鹿か生きる楽
しみがないんでしょうな。

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