ハードなアクションで魅せる「ザ・タウン」は思いがけない佳作。「ウォール・ストリート」はあまりに丸くなり過ぎたオリヴァー・ストーン監督だった
月曜日は公開になったばかりの映画を2本観に都心へ。観た
のは「ウォール・ストリート」と「ザ・タウン」で、前者は
予告編を観ていた限りではそれほどの期待はしていなかった
のだが、想定外に面白かったのが俳優のベン・アフレックが
脚本にも参加して、監督までした「ザ・タウン」だ。
アフレックは「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」で
マット・デイモンと共同脚本を書き、アカデミーとゴールデ
ングローブの脚本賞を受賞したなかなかの才人で、数年前に
「ゴーン・ベイビー・ゴーン」という映画で初監督もしてい
て、今回が監督2作目。その1作目が配給会社の馬鹿のせい
か日本では劇場未公開になり、ビデオで観ることしか出来な
いのだがこれがかなりの出来の良い映画だった。それだけに
期待感もあったのだが、それを裏切らないハードな犯罪アク
ション映画となっていて相当に面白かった。(このアクショ
ン映画としてはつい先日観たばかりの豪華俳優勢揃いの「レ
ッド」とは雲泥の差の出来の良さ。まあ、「レッド」は豪華
キャストのお遊び映画としてぼけっと楽しめば良い訳で、そ
のなかでもボーンシリーズでストイックな殺し屋を演じたカ
ール・アーバンと機関銃ぶっ放すヘレン・ミレンを楽しめば
良いのだが)
それにしても、ハーバード大学などもあり知的な雰囲気の街
と思えるボストンってのが下町のほうはアメリカでも屈指の
犯罪多発地帯ってのが舞台としては面白い。その犯罪の黒幕
的存在で出演が最近亡くなったイギリスの名優ピート・ポス
ルスウェイトで、病気のせいか痩せこけた頬で凄むシーンな
どさすがだ。また、直情径行のギャング役のジェレミー・レ
ナー(ハート・ロッカーで主演)が全編を引き締める怪演。
ベン・アフレックは俳優としてはかなりお馬鹿な映画にも多
数出演しているが、今回を含めた監督2作を観る限り監督、
そして脚本家としての才能は相当にあるんじゃないかな。ク
リント・イーストウッドの後継的存在になりうる可能性大い
にありだ。
それに比して、初期のとんがった作品の印象度が最近どんど
ん消滅気味なのだがオリヴァー・ストーン監督。80年代半
ばの「ウォール街」の続編なのだが、前作の面白さ全くなし。
サブプライム問題などにもっと切り込んだ話になっているの
かと期待していたら、なんだか気の抜けたような経済談義だ
けで、娘とのウジウジした関係などあまりに小さい世界がド
ラマで、ウォールストリートなどの題名がおこがましい限り。
まあストーン監督も年とって丸くなりすぎたんだろうな。そ
れに比べると80歳になるイーストウッドの精神的若さの維
持は凄いばかりだ。イーストウッド監督作は19日から公開
のマット・デイモン主演の「ヒアアフター」が楽しみだ。
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