温泉も雪がまだあるので、なかなか行けない。という訳で、ちょっと
今回はグルメ本チェックのお遊び。
まあ、会社辞めて10年弱、会社時代は夜はほぼ外食ばかりだったん
で、いろんな食い物屋に(それもたいていおつきあいで自分では払わ
ず多かった)行っていたし、80年代から90年代に掛けては嫁さん
らともフレンチなども良く行っていた。
しかし、この10年ほどはそういうこともほとんどなくなった。まず
地下鉄とかでそういう食い物屋のある場所に行くのが完璧に鬱陶しい。
しかも食うものに比べてあまりに価格が馬鹿高い。ということで東北
何ぞの温泉へドライブで行って現地で適当に食っているのが一番楽し
いし、東京では最近はなんと言っても居酒屋系で飲んだり食ったりす
るのがご機嫌で、安上がりだ。
なんだけど、嫁さんがたまにはフレンチなんかに行きたがる。という
ことで、3月春になって来たので、久しぶりにどこかお手軽なおフラ
ンス料理に行こうかとなった。そこでかつて行ったことのあるフレン
チレストランのホームページ見てみようとネットしたら、わりにお気
に入りだった店がすでに閉店しているんだよね。
例えば美味かった「ル・レストラン・ドゥ・レトワール」とか「ラ・ベ
ル・ドゥ・ジュール」なんか行きたい候補だったんだけどね。昔何回
か行った駒沢公園にあった「ラ・プリムール」なんてのはかなり以前
にフレンチでなくなってカレー屋になったそうなんだが、それも相当
以前に閉店して、ネット徘徊していたら、なんとそこのシェフだった
人が焼き鳥屋に変身してしまって、「ぎたろう軍鶏 炭火焼鳥 たかは
し」という店を出しているんだって。フレンチから焼き鳥屋への転身
て、??????が脳内を走りました。
ということで、そんな閉店なんか知って、現在のグルメ情報をいろい
ろ検索するのが面白くなって、この2〜3日グルメ情報ばかりネット
で読んでいた。それで、グルメ本の新しいモノが出ているのも分った。
そのネットグルメ情報で一番読んで楽しかったのが友里征耶なるペン
ネームの方。攻撃的ですべて自分の金で払った食い物それもかなり高
額なもの限定で食べまくっている真性のグルマン(この10年ほど丼
ものはまったく食っていないと書いていた)だ。その友里の著書も数
冊(「ガチミシュラン」なんてのもある)ある。
その友里ブログってのが実に面白い。とにかく攻撃的と言うか、まと
もでない自称グルマン野郎を叩きまくっていて爽快そのもの。そこで
自称料理評論家の新しい人物で「来栖けい」なんてのがいるのも初め
て知ることができた。
一昨年末に「ミシュラン東京版」が発売されて大騒ぎになったんだけ
ど、近所の本屋では結局立ち読み出来ないまま(もっともその星付き
になった店は本を読まなくてもネットで発売と同時に分っているのだ
が)過ぎたが、そのミシュラン東京版の最新版が昨年末に発売された
ようなので、今日はそれを含めて、いくつかのグルメ本(ここ7〜8
年まったく本屋で見ることもなかった)をチェックして来た。
まずは第2版が出た「ミシュラン東京版」、前回のは結局チェック出
来ずじまいだったが、今回のミシュラン東京版は山のように書店にあ
った。しかも誰も立ち読み(今日は2時間ほど座り読みでグルメ本チ
ェックをしていたが、その間誰もミシュラン東京版を手にせず)もし
ていない。
そのミシュラン東京版を手にしてみて、これまで出ていた悪評が良ー
く理解出来た。ひとつの食い物屋が2ページで組まれているのだが、
左側はあまり美的じゃない写真2枚、右にも写真で計3枚の無駄その
ものの写真ばかり。しかも評論文章があまりに少ない。しかも場所や
店の雰囲気のどうでもいいことばかりで、料理のことがほとんどなし。
実質単なる店の住所と電話番号が分るだけの超駄本。ネット上でミシ
ュランが星付きにしている店が分れば十分で、その店についてはネッ
トでチェックすれば良いだけ。それにしても日本人からカネをふんだ
くるのだけに徹した、まるでハゲタカ外資並の資質の本だった。
次は上記の友里の本「ガチミシュラン」だ。「ミシュラン東京版」の
星付きになった食い物屋を自腹・覆面で食って独自に採点したものだ。
高額食い物屋に行く場合の参考としては一番面白くて、詳しい価値あ
るものなんだが、実はこれは買う必要はない。手にしてみて分ったの
だが、実は之すべてネットで読める。それ
は「ミシュランに読ませたい星付きレストランほんとうの味とサービ
ス」というブログの内容だからだ。
しかもブログだと写真もあるし、書籍では掲載していないコメントも
面白いので価値がさらに大きい。ブログはいつ消えるか分らないので、
90強ある食い物屋ガイドを保存しておけば本を買う必要はない。こ
の友里本の「シェフ、板長を斬る悪口雑言集」が2冊あとあるのだが、
これは本屋にはなかった。しかし、ガチミシュランからすると、この
2冊もQサイトとかで連載された「行っていい店、わるい店」を書籍
化したものと思われる。
この友里評論はかつての田中康夫の真っ当な料理店2冊の路線だが、田
中本では店・料理自体よりその周辺の蘊蓄が大きかったのだが、友里
本は料理に集中していて、そのグルマンぶりがすごい。まあ、料理な
んてその人の好みなんで、友里はんが高評価でもそれを鵜呑みにする
ことはないが、高い金を出すのだから、やはり自腹で食って、これほ
ど詳細に書くのは参考度大だ。高額食い物屋なんてたまに行けば楽し
いものだが、これほど頻繁に通うのはカネもかかるけど、一種の胃袋
の拷問なんだけどね。
その自称料理評論家でいまやタレント化しているのが山本益博で、か
つてその掌に入るぐらいの小さい東京グルメ案内を買って、そのあま
りのいい加減さ(とにかく料理などを評論する文章がほとんどなく、
たんなる店の住所と電話の案内で、考えられないほどのボッタクリ本
だった)に呆れた人物で、ミシュラン発売の時には、「すきやばし次
郎」の主人と一緒にテレビニュースに登場してまるで紹介ブローカー
のようになっていて、胡散臭さが匂いたっていた。
その山本の最新版が「マスヒロの東京番付」(実業之日本社)で、本
屋にあったので一瞥。その売りは
…………
今の東京を代表する飲食店とは?最高位横綱の5軒と大関に格付けされた14軒をこちらでごらんいただけます。
…………
だとさ。ということで、座り読みしたら、本人がすべて書いてない羊
頭狗肉の山本らしい内容希薄本。なんだか知らないがかなりの人数が
拘わっているようなのだ。なのに、文章のあまりの少なさ。その文章
も料理のことがほとんど書かれていない(本当に文章の分量がなくて
スカスカの紙面)、どこが料理評論の本だよと突っ込みだらけのボッ
タクリ本。
文春のもう40年ほどの歴史があるのかどうか知らないが、「東京い
い店うまい店 2009─2010年版」も置いてあった。これを手にして
みて、店など見るとあいも変わらないレトロ感覚の紹介。いまも月刊
文芸春秋あたりを毎月購読しているパソコン使用出来ずにネット徘徊
出来ないような人向けだね。もう退場の時期じゃないの、それに価格
が1700円も高すぎ。まあ、他の本も高いけどね。立ち読みで十分。
上記の友里ブログを楽しく読んでいて初めて知った食道楽自慢の一人
に「来栖けい」とかいう人物がいたが、その来栖けいのブログもあっ
た。なんともうドッチラケするようなタイトルで、そのタイトルを見
るだけで中身のいかがわしさが伺われるモノなんだが、題してそのブ
ログタイトルが「美食の王様来栖けいオフィシャルブログ」と来たも
んだ。自分で自分のことを王様と普通言うか、その上にオフィシャル
と来たもんだ。しかもその王様がまだ30歳程度で美食かい。
そのブログのプロフィールを読んで椅子から転げ落ちそうになった。
…………
【来栖 けい】
Kurusu Kei
職業=美食の王様。
1979年埼玉県生まれ。あのグルメ評論家の雄・山本益博氏をして、「わたしの仕事を超えてゆく新人がついに現れた」と言わしめた稀代の美食家。
人並み外れた「舌」と「胃袋」、そして「食への愛情」の持ち主であり、"食べることそのものが生きること"を日々実践。その舌は、食材の原産地の違い、調理法、組み合わせの善し悪しから、コースの組み立てまで分析でき、正確に味を記憶し、表現できる。
これまでに1万軒以上のお店を食べ歩き、取材を一切しない独自のスタイルを貫く。
…………
まあカネをアホーアッソー並に持っている家の坊ちゃんなんだろう。
しかしね、職業が「美食の王様」って吉本コントか。人並みはずれ
た「舌」と「胃袋」ってのは単に大食いってことね。しかも言うこ
とに事欠いて、「その舌は、食材の原産地の違い、調理法、組み合
わせの善し悪しから、コースの組み立てまで分析でき、正確に味を
記憶し、表現できる」って冗談としか言いようがない。原産地を言
えるってね、すべての食材を食べていなきゃそんなこと出来る訳ね
えじゃないか。ここまでホラ吹いて、自称料理評論家的な位置を占
められるってほど日本には思いきり甘い世界があって良かったね。
30歳弱の人間が「これまでに1万軒以上のお店を食べ歩き」って
ね、10年で1万軒としても、1年で1000軒だぞ。つまりは朝、
昼、夕食をすべて外食しないと1年で1000軒にならない計算だ。
1日にそれ以上の軒数を食べているなら、よほどの大食いか、味が
まったく分らないいだけだろう。
大体、料理なんてのは言葉と同じで、小さい頃から家庭料理でその
舌が鍛えられることで日本語が母国語として思考の基底にあるよう
に味覚の原点となり、人生経験とともに味も分って来る。その人生
経験もなく、ただただカネが有り余っていたから高額な外食しまく
っただけで美食の王様かい。こんなのを持ち上げるグルメジャーナ
リズムってアホか。まあ、普通のジャーナリズムそのものがないの
で、食い物ジャーナリズムなんてものは元からある訳なく、単なる
食い物屋ガイド商売だけどね。
しかも、この王様、「取材を一切しない」スタイルと言いながら、
食った店の食材の細かいことや料理人のことなど店の人間に聞かな
ければ(つまりは取材ね)分らないことまで知ったかぶりで書き、
取材をしないと言うのが嘘だと自らばらしている。さらに笑えるの
が、本人と一緒に高額店でお食事会を主催(その値段がその店の値
段ではあり得ないほど高額)しているに及んでは、どこが取材しな
いだよ。店とつるみ過ぎじゃないか。そのひとつの例をブログで拾
うと、
…………
みなさんこんにちは~♪
今日は、第9回食事会のお知らせをしたいと思います♪
その詳細は以下の通りで~す(^^)/
↓
食事会開催場所:レ・クレアシヨン・ド・ナリサワ(フレンチ)
住所:東京都港区南青山2-6-15
TEL:03-5785-0799
http://allabout.co.jp/gourmet/eatoutshuto/closeup/CU20070619A/
日時:12月27日(土) 18時半~
応募期間:たった今~12月18日(水)の23:59まで。
募集人数:11名(ボクを除く)
会費:45000円(シャンパーニュ、ワイン、ミネラルウォーター、サーヴィス料などもすべて含む)
応募方法:お名前、人数、代表者さまの電話番号、アレルギー等により絶対に食べられないもの、を記載の上、以下のメールまで応募くださいませ。
event@kurusukei.com
食べることがお好きな方でしたら、どなたでも応募OK♪
…………
料理を評論するなら、料理だけですべてを判断するものだ。しかも、
ミシュランが基本にする匿名でね。もっともミシュラン東京版なん
てのはどういう人間か分らないのが雇われて適当に食って、なんだ
か調査に行くことまで事前に分るようなことまでしていて、しかも、
掲載するがと言って、写真(ページ稼ぎね)まで撮影に行くアホら
しさで、ミシュラン東京版は単なる案内本にしか過ぎないが。この
王様、自分の好きらしい食品を全国から取り寄せするブローカー仕
事もしているようで、その品をブログに書いたり、それをまとめた
本も出しているようだ。どこが、評論家なんだと呆れるだけ。
この王様が執筆者5人の一人に入っているグルメ紹介本「東京最高
のレストラン」(グルメぴあ)も書棚にあったので、ちょっと立ち
読み。しかし、思考、趣味も違う5人がバラバラに推薦している本
の意味自体が分らない本。まあミシュランもそうだけどね。
この多人数でのグルメガイドは文春のも含めて基本は単なるガイド
本。それを極端にまで進めてしまって、食った人間が山のように勝
手なこと書いている「ザガット」なんてのは、それよりもっと詳し
いものが山のようにネット上にある現在では今や完全に存在意義が
なくなっているのだがね。
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